最終決戦7
「続いて、右翼軍の軍団長はクロエ・フィレル」
「お任せください、ヒューゴ陛下」
黒髪の女性、フィレル上将軍が応じる。
「君が相手にするのはおそらくオスカー・グロスモントだ、フィレル上将軍。今やかの勇壮の聖騎士は、この世で最強の武人だろう」
かつて帝国と聖王国で最強を誇ったヴォルフラム、カムラン亡き今、オスカーこそが至上の武人…その見解には、多くの者が同意する所だろう。もっとも、『ヒューゴ・トラケウを除けば』という前提条件付きだが。
「オスカー・グロスモントに勝て、とは言わない。何としてもかの男を君の所で引き付けてくれたまえ。その間に私が勝負を決める」
「承知しました」
フィレルの顔に悲壮な決意が浮かぶ。彼女の配下には、ルボル、マルセルの兄弟がいる。彼らを、そしてフィレル自身の肉体を盾としてオスカーを止めるつもりだった。ヒューゴはそんな彼女の決意に心を動かされたりはしない。淡々と言葉を続けた。
「続いて、別働軍団の軍団長として――ミュルグレス・レイ」
「はい」
灰色の髪をした元聖騎士が静かな声で返答した。
「君には、聖王国残党軍…いや、ヨハンネス軍か。彼らを潰してもらう」
「承りました、皇帝陛下」




