第三勢力9
ヨハンネス・フォン・リーゼンバッハという人物は深い計算があってこのような事を言った訳ではない。ただ、ヒューゴと…そしてミュルグレスが憎かった。彼にはどうしても戦わなければならない理由があった。だから、むしろ自身の激情に任せて思うがままの事を叫んだに過ぎない。だが――それが、兵達の心に火をつけた。
「おお!やってやる!俺はやってやるぜ!」
「もしヒューゴの首を取れば公爵になれるかもしれねえんだ、やるしかねえ!」
「ヨハンネス陛下は…その、まあ、あれだけど…エレオノール軍はそうとう強いって聞くしな。その援護って事なら決して無謀じゃないよな…!」
戦いに賭ける意気込みを思い思いに叫ぶ兵達。もはや、貴族達に彼らの熱気を止める術はなかった。
「ようし!それじゃあ俺達は聖王国残党軍…いや、ヨハンネス軍として対ヒューゴ軍の戦いに参戦する!いいな!」
「「「おおおおおお!」」」
兵達の声が地響きのように広場を揺るがした。
もっとも、ヒューゴ軍を獅子とするならばヨハンネス軍などは容易く踏み潰せるネズミのような存在に過ぎない。本来ならば、戦局に対して大きな影響を与える事は無い――ないはずだった。だが、彼らの参戦は予想外の結果をもたらす事となる。




