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第三勢力7

 貴族達は動揺を見せる一方、兵士の反応は冷ややかなものだった。


「プライドって言われたってなあ…」


「そりゃまあ、ヒューゴ・トラケウもミュルグレス・レイも好きじゃないけどよ…」


 ヒューゴ軍は兵力、指揮官の質共に圧倒的だ。勝てる訳はない。プライドのために死ぬのは御免だ――それが兵達の本音だった。しかし、ここでヨハンネスは兵達の心を揺さぶる言葉を発する。


「そもそもお前達、本当にヒューゴやミュルグレスが聖王国の再独立を許してくれると思っているのか?そんな訳ないだろうが!奴らはお前達を皆殺しにするぞ…考えてもみろ!奴らが聖王国の再独立なんて認めて得する事なんて何もありはしないだろうが!」


 兵達はひそひそ話も止め、思わず黙り込む。ヨハンネスの言った事は、兵達の誰もが心の奥底で気付いていた。だが…それを口にしたくはなかった。そうすれば、安心する事が出来るから。人は、『こうすれば安全』という選択肢を教えられるとそれに従いたくなるものだ。それが実際に正しいかどうかをしっかりと確かめもせずに――。


 しかし、だ。例えヨハンネスの言葉が正しかったとしてもだからヒューゴ軍と戦おう…とはならない。勝てる訳がないからだ。


「戦ってもヒューゴ軍に勝てる訳ないって顔してるな。だが心配するな。奴らは、エレオノール・フォン・アンスバッハ率いる軍と衝突する…俺達は第三勢力としてそこに介入して、アンスバッハ達の勝利に貢献してやればいい。ヒューゴはお前達を殺すだろうが、アンスバッハ達ならそんな事はしないだろう」


「エレオノール・フォン・アンスバッハ殿か…」


「た、確かにヴォルフラムすら倒したっていうエレオノール殿なら…ヒューゴ相手でも勝機はあるよな…」


「ヴォルフラムを倒したのは軍師の子供だって聞いたぜ?まあ何にせよ、あそこには聖騎士(パラディン)達もいるしな…」


 エレオノールの言葉が出ると、兵達の顔色が明るくなった。エレオノール・フォン・アンスバッハとその仲間達の名声はここにまで届いている。


「さあ、どうするんだお前達!ヒューゴと戦って生き残るか!それとも戦わずに死ぬか!どっちだ!?もし次の戦いで功績を上げれば…お前らに莫大な報酬と高い地位を約束してやるぞ!」

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