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第三勢力3
「お前達、何の話をしている?」
ちょうどヨハンネスに対する処置を決めた所で、会議室に当のヨハンネス本人が現われた。体に付着していた泥と埃は洗われ、身に付けていたボロボロのローブは豪奢な礼服に変わっている。
「我々一同、ヨハンネス殿下とこうしてお会いできた事を喜んでおりました」
「そうでございますとも。このような辺鄙な場所でヨハンネス殿下をどのようにしておもてなししようかと、集まって頭を悩ませていた次第でございまして…」
貴族達は口を揃えてヨハンネスに対する世辞を並べ立てる。自分より立場が上の人間に媚びへつらうという一点においては、彼らの能力は決して低くはなかった。
「ふん、そうか。それより準備は出来ているんだろうな」
「もちろんですとも。みな、殿下のお声を聞くために集まっております」
ヨハンネスが聖王国残党軍に合流してまず初めにやろうとしている事…それは、残党軍の者達の前に自ら姿を現し、声を聞かせようというものだった。
「街外れの広場に、指揮官達から兵にいたるまで集合させました。どうぞ、下々の者に殿下のお声をお聞かせくださいませ」




