出撃準備6
エレオノール軍の再編成は迅速に行われた。その大まかな編成は以下の通り。
皇帝にして全軍総司令官は、エレオノール・フォン・アンスバッハ。軍師たる椿と、彼の護衛であるハティは常にエレオノールの周囲を固める事となる。
その下には全軍副司令官としてエレオノール軍の武の要たるオスカー・グロスモント。
さらにオスカーと並ぶ存在として参謀総長のエステル・ラグランジュ。彼女が他の聖騎士を差し置いてこの地位につく事について、不平を漏らす者はいなかった。前線に立つ事の少ない彼女だが、実は彼女が行ってきた後方支援こそがこれまでの快進撃を支えてきたという事を誰もが承知していたからだ。
オスカー、エステルの2名は実質的にはエレオノール軍における大将軍と言って良いだろう。
さらにイゾルデ、ウルフヘレ、カイの三名が大軍を率い上将軍としての役割を果たす。
エレオノール直属の部下としては、エマが副長を、ホフマン、リヒター、ボゥがそれぞれ部隊長を務めるという編成は変わらない。だが、全員が万単位の兵を率いる事となり、実質的には将軍への昇格だ。
さらにはオスカーの右腕たるガレス、元カムラン軍のユーウェイン、サグラモール。そして元北統王国軍のエッカルトも万単位の兵を率いている。エッカルトは当初一兵卒での参加を望んだが、
「能力の高い人間を相応しい地位につけないのは愚か者のする事よ」
と、エステルによって指揮官の立場での参戦となった。この他にも、元北統王国、元帝国軍の者達も多く参加している。
今、エレオノール軍に出来る限りの編成が完了したと言って良いだろう。だが、相手もまた強大だ。勝てるという確信は、誰の心にもない。ただ全力を尽くすのみだ。




