表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

899/1118

出撃準備5

 エステルの言葉は正論だ。次の決戦に置いて、エレオノール軍が絶対に勝てるという保証はない。無論、エステルは勝つために戦略を練り、そして全力で戦うつもりだ。けれどエッカルトが無理に戦いに加わる必要はない。だが、彼女の心はすでに決まっていた。


「例え勝てるという保証がなくても、あたしは戦いたいの。…指揮官として参加できなくてもいい。一兵卒でもいいわ。どうか、あたしを戦わせてちょうだい」


「どうして?」


「あたしに勝ったあなた達がヒューゴに負けたら、あたし達の勝ちも下がるからね。ってのは、まあ、冗談として…」


 エッカルトは笑みを作る。


「…あんた達の作る世界を見てみたいから、ヒューゴ・トラケウには負けて欲しくない。そのために、少しでも力になりたい。――これじゃあ、戦う理由にならない?」


 イルメラ・エッカルトは見てしまった。王族と貴族の特権意識が蔓延る北統王国を…ずっと変わらないと思っていた不条理を、椿やエレオノール作り替えてしまうその様を。そして、もっと見てみたくなった。彼らの作り出す、その先を。


「いいえ、十分な理由よ。ありがとう、エッカルトさん」


 エステルは頷き、部屋の隅にあるクローゼットを開く。そこから取り出したのは、一着の聖王国軍用騎士服(サーコート)だ。エステルはそれをエッカルトに手渡した。


「はい、これ。あなたの背丈にぴったりのはずよ。」


「え…」


 エッカルトは受け取った騎士服(サーコート)とエステルの顔を見比べる。エッカルトとエステルでは、身長が違う。もしこの騎士服(サーコート)がエステルのものであれば、サイズは合わないはずだ。しかし、エステルはその疑問が発せられる前に答えを述べた。


「この服、あなたのために作ってもらっておいたの」


「なっ…!あ、あたしが戦いに参加すると申し出ると…って読んでたって事…?」


「ふふ、買い被りよ。『そうだったらいいな』と思って準備しておいただけ。戦略家って言うのはね、色々な状況を想定して用意しておくものでしょう?」


 エステル・ラグランジュはにっこりと微笑んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ