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出撃準備3

「あたしと二人きりなんて…良かったの?エステル殿」


「そうね、出来れば美少年を交えて三人で話したい所だけど…今はツバキ君も忙しいでしょうし、仕方がないわね」


「あたしが言いたいのはそんな事じゃない。…危害を加えられるかもしれないとか思わないの?」


 エッカルトとエステルはつい数ヵ月前まで敵同士だった間柄である。ここでエッカルトが乱心してエステルに危害を加えようとするというのは、あながちあり得ない話ではない。だが、エステルは首を振った。


「思わないわよ。あなたはそんな事しないでしょう?エッカルトさん」


「随分と甘い考えね。ついこの間叡智の聖騎士パラディン・オブ・プルードゥンスに裏切られたというのに」


「そうね、私達はミュルグレス・レイに裏切られた…だからこそ、私は身近な人間を信じるわ」


「え…?」


 エッカルトは、エステルの言葉の意味が分からない。ミュルグレスという仲間に裏切られた以上、今後同じ事が起こらないように身近な人間でも疑ってかかる…というのが筋ではないだろうか。


「だって、これで誰も信じられなくなって味方同士で疑心暗鬼になったら相手の思う壺でしょ?だから私は信じるわ、私の周りにいるみんなを」


 微笑んで見せるエステル。エッカルトは、彼女に対して何も言い返せなかった。エステルの言葉を、甘さだと断じる事は容易い――だが同時に、『誰も信じられない』という状況では軍を纏める事など不可能だというのも確か。部下が裏切者かもしれない上官が敵と通じているかもしれない。もしくは、横にいる人間が…それを考え出したらキリがない。例え不確かであろうと、どこかで『信じる』という決断をしなければならないのだ。

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