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最後の敵10

 聖都にある王宮は、帝国や北統王国の王宮に比べても一段と華美で壮麗だ。もっとも、本来の主である聖王国の王族、貴族はもういない。現在はヒューゴ軍の本部として、その内部は軍人で埋め尽くされている。


 SPそて王座の間と称される、王宮の中心に集まるのはヒューゴ軍の上級幹部達。その中のひとり、ルボル・ホイサーは背筋を伸ばし緊張の面持ちで椅子に腰掛けていた。かつては装飾方であった王座の間だが、今はその多くは取り払われ極めて実用的な空間となっている。七人程が囲んで座る円卓と、そこから少し離れた位置に置かれた椅子。ルボルが座っているのはその椅子だ。彼の横には、兄であるマルセルの姿も見える。両名とも、今回のクーデター成功に協力しで将軍に昇進していた。だが、そんな彼らからしてみても円卓に座る七名は自身とは格の違う存在だ。すなわち――。


 円卓に座る七名の内の1人目は、ルボル達の直属の上司であるクロエ・フィレル。顔に真一文字の傷があり、その表情は真剣そのものだ。彼女もまた昇進を果たし、現在は上将軍(ハイ・ジェネラル)となっている。


 2人目は、元精鋭槍騎士ディルク・カルヴェント。現在はシャルンホストの右腕として働く彼も、上将軍(ハイ・ジェネラル)の地位を得た。


 3人目はランスロ・フォントヴロー。ディルクがシャルンホストの右腕ならば、ランスロはミュルグレスの右腕だ。彼の地位も現在は上将軍(ハイ・ジェネラル)となっている。


 4人目はエルンスト・リヒトホーフェン。ルボル達は、この人物とは今まで面識がなかった。彼は元々帝国にいた5人の上将軍(ハイ・ジェネラル)のひとりで、その時の肩書は帝都防衛総司令官。しかし帝国軍を裏切り、現在はヒューゴ軍配下となっている。痩せぎすで、無精ひげを生やした四十歳がらみの人物だ。


 そして上記4人の奥、左右にそれぞれ座るのは新たに大将軍フィシュタル・ジェネラルの地位を得た二人。


 ひとりは元聖騎士(パラディン)序列第二位、ミュルグレス・レイ。聖王国を裏切り聖都を陥落させ、実質的に聖王国を滅ぼした男。


 もうひとりはヒューゴの影とも言える青年フェルマー・シャルンホスト。大将軍フィシュタル・ジェネラルとなってもその態度は変わらず、人を不快にさせるような笑みを浮かべるばかり。


 さらに彼らの奥に座る者こそ、この城の新たな主…皇帝(カイザー)ヒューゴ・トラケウ。帝国と聖王国を打ち倒し、紛れもなく世界の頂点に立っている男。しかしその瞳は夜の闇のように暗く、深い。

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