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最後の敵5

 従わざるを得ないから従っている――その感覚は椿にも理解できた。この世界において一般大衆は、権力者に抗う術をほとんど持たない。例え政権に不満があろうがただ従うしかないというのが現実だ。


 もっとも、ヒューゴやミュルグレスに大きな不満を持っている者が数多くいるかと言えばそうではないだろう。大多数の者は、ヒューゴ達が何をしようとしているのか…いったいこの先どんな世界が待ち受けているのか全く予想出来ていないというのが現実ではないだろうか。


(でも、それじゃ…駄目だ)


 椿は知ってしまった。ヒューゴの目的、彼がこれから成そうとしている事を。


 この世界に住む人間、そのことごとくを殺し尽くす。それがヒューゴ・トラケウの目指す未来。そんな事を実際に成し遂げられるかどうかは分からない。だが、少なくとも世界に大いなる混乱をもたらす事は可能だろう。ヒューゴによって世界が統一され、その上で彼が悪政を行えば多くの人間を死に至らしめる事は容易なはずだ。


(そんな事…させる訳にはいかない…)


 大切な人が住むこの世界を――そして、ユンカースやカムランが命を賭けて守ろうとした人々の命を、ヒューゴに奪われる訳には行かない。


「エレナ…」


 椿は、何よりも大切な人物へと視線を向けた。


「僕の事、これからの事――話しておかなきゃいけない事があるんだ。聞いてもらえるかな」

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