襲撃事件2
「二刀流…!」
ヒューゴの左右の手にそれぞれ握られた二本の剣は、ユルゲンの槍を完全に受け止め切っている。ユルゲンには、その事実が信じられない。
(ヒューゴ・トラケウが二刀流の使い手だなどという話は聞いた事がない…!)
二刀流とはただ左右の手にそれぞれ武器を持てばいい、という簡単なものではない。本来ならば両手で扱うべき剣を片手で、しかも二つ同時に使用するというのは至難の業だ。ある程度以上の使い手になるには長い研鑽と天に選ばれた才能が必要だ。そして、ヒューゴの腕前は『ある程度』などというレベルではない。
「くっ…!」
このままでは埒が明かないと、ユルゲンは一度槍を引き改めてヒューゴに対して攻撃を繰り出す。だが、それは易々と弾かれる。また攻撃。しかし、弾かれる。もう一度攻撃を仕掛けようとしたその時、ユルゲンの胸にヒューゴの剣が突き立てられた。これ以上ない速度とタイミングの一撃。ユルゲンは反応すら出来ず、その直撃を受ける。
「ぐっ…う…ヒューゴ…。シャルン…ホスト…!」
それでもまだ前進しようとするユルゲンだったが、ヒューゴの攻撃が二撃、三撃と浴びせられる。骨をも断つその攻撃に、ユルゲンは崩れ落ちた。




