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聖都再訪5

「…悪いな。そういう訳で、案内は出来なくなっちまった」


 若い兵士は申し訳なさそうな表情で頭を掻いた。


「気にしないでください」


「ちょっと前まではこんなんじゃなかったんだけどな…クーデターで色々と変わっちまった。規律を守らせるのはいいが、子供の道案内くらい許して欲しいよな…。おっと」


 兵士は慌てて自らの口を押さえる。


「今、俺が言った愚痴は忘れてくれ。政権に対する批判なんてバレたら偉い事だからな。密告されたら偉い事だ」


「密告、ですか…?」


「ああ。今の聖都では密告制度が採用されてな。現政権に不満のある者やかつての門閥貴族の生き残りを見つけたら密告する事が義務付けられているんだ。治安維持のために仕方のない事なんだろうが…互いに監視し合ってるみたいで、あんまり気分のいいもんじゃ…って、まずいまずい。言ってるそばから批判じみた事言っちまってるな」


 男は再び自らの口元を押さえた。


「とにかく、そういう訳だ。坊主とお嬢ちゃんも気を付けなよ」


「はい、ありがとうございます」


 礼を述べつつ、椿は内心でミュルグレス政権下の聖都についてどこか不穏な印象を覚えていた。

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