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暗雲13

「情勢の読めない聖都へ潜入するという、その危険性を分かった上で…君は決めたんだね」


 椿の隣に座るエレオノールが、机の上に置かれた少年の手にそっと手を重ねつつ言った。


「うん。危険なのは分かってる。でも…これが一番いい方法だと思うんだ」


「それなら、私は止めないよ。ただ、これだけは言わせて欲しい。…必ず帰って来てくれ、ツバキ」


「そうよ。君は私達にとって無くてはならない存在なんだから、絶対に帰ってくる事。いいわね。ツバキ君」


 エレオノールの言葉にエステルが同意する。


「自分の身を第一に考えて行動してくれ。君は、俺達にとって大切な存在だ」


「無茶は……しないでね」


「とにかく、退路の確保だけは怠らないようにね」


「――お前が帰って来るのを待っているからな、ツバキ」


 オスカー、イゾルデ、ウルフヘレ、そしてカイがそれぞれ激励の言葉を送った。それに頷きつつ、少年は応じる。


「はい。絶対に…帰ってきます」

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