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暗雲11

(確かに…ヒューゴさんの狙いがどこにあるのか、僕達には分からない…)


 たった一度しかヒューゴと対面した事のない椿にも、かの大将軍フィシュタル・ジェネラルの真意は読み取れなかった。


(けど、それなら…)


「すみません、エステルさん。質問していいですか?」


「ええ、もちろんよ。私に答えられる事なら何でも答えるわ」


「ありがとうございます。…聖都と帝都で起きたクーデターの情報はどうやって手に入れたんですか?」


「聖都にいる私の部下が伝えてくれた情報よ」


 この答えは椿の予想通りだった。エステルが情報収集のために各地に連絡員を配置している事は彼も知っていたからだ。


「でも、詳しい情報は分からなかったわね。情報が少なすぎるんじゃなくて…むしろ、デマが多すぎて。おそらくミュルグレス・レイがわざとデマを流して情報をかく乱しているんでしょうね…」


 他人に正確な情報を把握されたくない場合、その方法は二通りある。ひとつは情報を隠す事。もうひとつは、嘘の情報を流す事だ。ミュルグレスは現在、後者の方法で情報をコントロールしているのだろう。


「でも、聖都と帝都でクーデターが起きた事はほぼ間違いないわ。これは私なりに情報を精査した結果よ。逆に言えば、確実な情報はそれしかないって事だけど。ミュルグレス・レイに接触を試みようとしたけど、それも上手くいかなかったわ」


(やっぱり、ヒューゴさんやミュルグレスさんは情報を隠そうとしている…)


 椿の予想通り、ヒューゴ達はこちらへ情報を与えないように立ち回っている。それ故に真意を見抜く事が出来ないのだ。


(けど、僕なら…ひょっとしたら)


 椿は一度大きく息を吸い込み、一同を見回した後で言った。


「提案があります。――僕が聖都へ潜入して、様子を伺って来ようと思うんです。僕を聖都へ行かせてくれませんか?」

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