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暗雲7
「二カ国同時国家転覆……」
イゾルデが、エステルの言葉を噛みしめるようにして繰り返す。
「つまり……聖王国と帝国は……ヒューゴ大将軍と聖騎士ミュルグレスの手に落ちた……という事ね」
「ええ。そうよ、イゾルデさん。ただ、私の読みではヒューゴ・トラケウがトップで、ミュルグレス・レイは彼に従う立場だと思っているわ」
「それじゃあ……ヒューゴ大将軍が世界の大半を手中に収めた事になるわね……」
「そうなっちゃうわね。もちろん、反旗を翻す人達もいるでしょう。でも…ヒューゴとミュルグレスは帝国および聖王国軍の統率には成功しているみたいね」
ヒューゴは帝国の大将軍。ミュルグレスは聖騎士の序列二位。もう一人の大将軍ヴォルフラムと、聖騎士序列一位カムランが先の戦いで戦死した事により、両者ともそれぞれの軍の実質的なトップとなっていた。多くの兵士は彼らに従うだろう。
「つまり、はっきり言っちゃうと…この世界でヒューゴの支配下にいないのは、少数の反乱勢力以外を除けば私達北統統治軍だけって事になるわね」




