エレオノールvsカイ21
「ええ…っ!?」
誰もいないと思っていた所に突如声をかけられ、椿は思わず体を起こしかける。だが、その背をぎゅっと抱きしめられた。
「まあ、積極的なお前も…嫌いじゃあないが…」
椿を抱きしめながらそう囁くのは、他でもない…カイだった。
「か、カイさん!?どうして僕のベッドに…?」
「驚かせてしまったね」
カイのいる場所とは反対…椿の背中方向から声がする。聞きなれた優しい響き。その声の持ち主は――、
「え、エレナ…!?」
「今日は、君と、ネヴィル卿と一緒に3人で寝たいと思ってね。こうして待っていたんだ」
「エレオノール殿、ネヴィル卿などという他人行儀な呼び方はやめてくれ」
椿の体を抱きしめつつカイが応じた。
「オレの事はカイ、と呼んでくれ。オレとあなたの仲じゃないか」
「ふふ、それではカイ殿と呼ばせてもらいましょうか」
エレオノールもまた、背中側から椿の体を優しく抱きしめつつそう答えた。そんな二人に挟まれながら、
(な、なんかエレナとカイさんが仲良くなってるような…。いや、それはいい事なんだけど…)
問題なのは今の状況だ。前後から椿の体を包み込むエレオノールとカイの体は柔らかく、湯上り独特の良い香りがして…温泉以上にのぼせてしまいそうになる椿だった。




