エレオノールvsカイ14
「失礼します」
そう告げてカイと向かい合うようにして湯に入るエレオノール。その姿を見て、カイは思う。
(でかい…!)
と。
(オレもそれなりに大きさには自信があったが…あきらかに、オレ以上だ…)
何がとは言わないが、エレオノールの体の一部は豊満だった。
(普段は鎧や騎士服のせいでよく分からなかったが…脱ぐとこんなにも凄いのか、エレオノール・フォン・アンスバッハ…)
目の前の人物の実力を改めて認識し、カイは僅かに怯む。そんな彼女の気持ちなど知らず、
「ネヴィル卿…ツバキとは、どのような話をされていたのですか?」
と、エレオノールが顔を覗き込んできた。美しい顔だ。凛とした強さを持ちながら、それでいて雲間から降り注ぐ光の如き気品と優しさもある。強さはともかく、気品や優しさというのは自分に欠けているものだとカイは認識していた。
(だが…オレは負ける訳にはいかない…!)
例えどれ程の強敵であろうと、譲れないものがある。ツバキ・ニイミという存在は、カイにとって決して譲れないものだった。
「オレは…ツバキの事が好きだと、そういう話をしていた」
カイはエレオノールの顔を正面から見つめ返し、言い放った。




