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エレオノールvsカイ2

「「ようこそお越しくださいました」」


 そんな言葉と共に椿達一行を出迎えたのは、燕尾服のような服装に身を包んだ男性と、地味だが上品なドレスを着た女性が数人ずつ。全員が温泉へと続く道の左右に整列している。


「こ、このたびはフェバーデにお越しいただき、誠に光栄の至りでございます」


 居並ぶ人物の中でも最も恰幅のいい男性が一歩前へ進み出て言った。フェバーデというのは、この温泉地の名称だ。


「し、しかし申し訳ございません…急な事でありましたので、お出しできる料理などが限られていまして…い、いえ、勿論、誠心誠意ご対応させていただきますが…!」


 恰幅のいい男の額には汗が浮かんでいる。その様子を見ただけでエレオノールには状況が飲み込めた。


 元々ここは、北統王族専用の保養地。出される食事なども超一流のものと決まっているのだろう。しかし、食材の質が高ければ高いほどその調達には時間を要する。突然の来訪でその用意が間に合わなかったという訳だ。


「お気遣いはご無用です」


 エレオノールは男に笑みを向ける。


「私達は王族ではありません」


「し、しかし…北統王国統治軍の副司令官殿と幹部の方々とお聞きしておりますが…」


 統治軍の副司令官と幹部となれば、王族や貴族と同等だろう…そんな男の考えをエレオノールは優しく否定する。


「私達は、この地をより良くしていきたいと考えています。しかし、まだまだこの土地について知らない事ばかり…そういった点では、あなた達に色々と教えていただく立場です」


 エレオノールは男のみならず一同を見回しながら言葉を続ける。


「どうか、互いにあまり畏まらず…気軽にお話が出来ればと思っています。あまり畏まられると、私達も緊張してしまいますからね」


 珍しく冗談めかした口調でエレオノールがそう告げると、居並ぶ男女の数人が釣られたように頬を緩めた。

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