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北統王国統治15

 オスカーは北統王国統治軍のトップだが、統治のための実務はエレオノール、イゾルデ、ウルフヘレといった面々が行っている。政治的能力に優れているエレオノール達が実務を行った方が効率がいいためだ。では、オスカーにはやるべき事がないのか。いや、違う――と、彼は考えている。


 オスカーに必要なのは、北統王国軍の象徴として人々を惹きつける事。だからこそ貴族の反乱鎮圧に自ら出陣した。戦うまでもなく貴族達を降伏させ、無理矢理参加させられた庶民を許す事でその『強さ』と『寛容さ』を知らしめた。強く、そして優しい者。そんな民衆の望む理想の統治者の姿を自らの態度で示したのだった。


「同じ統治するにしても、民衆が協力的なのとそうじゃないのとでは雲泥の差だからねえ。グロスモント卿が民衆の声望を集めてるってのは自分としてもありがたいよ」


 ウルフヘレはそう言った後、エレオノールと椿に視線を移す。


「まあ、人気って点じゃあお二人さんも負けてないけどね。アンスバッハ殿…そしてツバキ君」


「え…?」


 エレオノールはともかく、自分にまで話を振られた事で椿は驚く。その表情を見て、ウルフヘレは眉を上げた。


「あれ、ひょっとして自覚ない?自分がどれだけ人気かって事に」

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