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北統王国統治11

「そう、ね……問題はないわ……。とは言っても、これはエステルさんの力が大きいけれど……」


 そう前置きして、イゾルデは現状を語り出した。彼女の話によれば、聖王国軍が北統王都を制圧するのほぼ同時に巨大要塞(フルングニル)にいるエステルは動き出したという。いや、正確に言えばその前から準備を始めていたのだろう。エステルは巨大要塞(フルングニル)にいる軍馬をかき集め、商業都市スルズに送った。そしてスルズから地方へと、様々な商品を流通させるよう商人達に働きかけたのだという。


 元々、北統王国では貴族の力が強かった。自身が富む事を何よりも優先させる貴族達は、自分の領土を商人が通る際に高い税を課していた。それ故に、商人達は地方に商品を売りに行こうとしても貴族領を通る際に税を取られて設ける事が出来ない。そんな理由があるために、北統王国では王都と商業都市スルズ以外の場所ではまともな商品流通というものが存在しなかった。


 だが、椿達は商人から通行税を取るという貴族の特権を廃止した。その機を見計らって、エステルは軍馬を無料で商人達に貸し出し商品流通および経済の活性化を図ったという事だ。


(エステルさん、僕らが勝つ事を信じてここまでの準備をしてくれてたんだ…)


 椿は心の中でエステルに感謝の言葉を述べた。後方にいるエステルは、言ってみれば目立たない存在である。だが椿達が戦っているように、エステルも巨大要塞(フルングニル)で彼女の戦いを繰り広げていた。前線の勝利を信じ、その時に備え準備を行う…それは簡単なように見えて、決して楽ではない事だ。

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