754/1118
決着19
「くすぐったいですよ、リヒターさん…」
リヒターに頭を撫でられ、くすぐったそうに体を捩りながらも椿は微笑む。
「ユンカース隊長がもしここにいたらこうしてたはずだ。…だから、隊分も撫でてなんねーといけないからな」
そう言って椿の髪が乱れる程に撫でた後、ようやくリヒターは椿を解放した。
「…とまあ、椿がヴォルフラムを倒してくれたおかげで、この戦後処理が俺にとっての最後の仕事になるはずだ。精一杯務めさせてもらうぜ」
「そうだね。私がこんな状況だし、リヒター君には頑張ってもらいたい所だよ」
その言葉と共に、天幕の奥、布で隠されていた場所から顔を覗かせたのはレイアだ。どうやら彼女はベッドで横になっているらしい。
「師匠…!」
「やあ、エレオノール。よくやったね、流石は私の妹弟子だ。…それに対して私はこんな無様な姿を晒してみっともないけれど…」
「そんな事はありません、見事ジークフラムを撃退したと聞いております」
「出来れば仕留めたかったんだけどね…まあ、それでも勝利に貢献出来てなんとか君の姉弟子としての面目躍如…って所かな」




