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決着7
「ぐっ…クソがァ…!」
右目の視力と右手の握力を失い、左腕は元よりない。こうなれば、もはや戦う事は不可能だ。だが――それは常人の話。
(腕が使えねェ?なら、脚で蹴りゃあいい。歯で噛み砕きゃあいい)
ジークフラムの闘志は些かも衰えない。レイアもそれを察し、臨戦態勢は崩さなかった。だが、そこに一頭の竜が割って入る。
「ジークフラム隊長!」
その竜に乗るは、特務竜兵隊副長マルガレーテ・セファロニア。
「引きましょう!」
「あァ!?」
「もう十分です!」
「馬鹿がァ!まだ決着は…」
「大丈夫です!一時的に引くだけです…ここから逆転する策があります!かの戦乙女や少年軍師をも同時に倒す策です!ですので、どうか…!」
「逆転だァ…?」
その言葉に、ジークフラムの顔色が変わる。
「そうか…なら、仕方ねェ…!」
ジークフラムは差し出されたマルガレーテの手を掴んだ。否、正確に言うならば今の彼に握力はないため、マルガレーテに自らの手を掴ませた。そして、ひと飛びで竜の背に跨った。




