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決着5
「くっ…!」
レイアの頬を汗が伝う。
「品がないね…本当、モテないよ…!」
鮫の如きジークフラムの乱杭歯は、レイアを捉えていた。ただし――レイアの腕を、だ。己の左腕を体の前に突き出す事で彼女はジークフラムの噛みつきを防いでいた。さすがのジークフラムでも、手甲は嚙み砕けない…そう読んでの行動だったが、
――ミシリ、とレイアの手甲が軋む。ジークフラムの強靭な顎は、鉄製の手甲すら噛み砕こうとしていた。だが、
「ふっ…!」
という呼気と共にレイアの突きがジークフラムの顎に突き刺さる。今度こそ、仕留めた――そう思われたその時、ジークフラムはまたもや笑う。
「がは…ハハハハァ!」
「ぐっ…!」
ジークフラムの蹴りがレイアの腹部にめり込んだ。




