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終盤戦58
「ウルフヘレさん!」
椿は100名程度のクロスボウ部隊を指揮する人物に視線を向けた。そこにいたのは…恩寵の聖騎士、ウルフヘレ・ラヴァルだった。
「ツバキ・ニイミ?なんで中央第二軍の君がここに…?」
椿の姿を見つけ脅くウルフヘレ。
「僕は援護のためにここに来たんです、ウルフヘレさんこそどうして…」
「自分は、叡智の聖騎士の指示でここに来た」
「ミュルグレスさんの…?」
「そう。聖王国右翼軍はずっと膠着状態だった。だからとこの100名の兵達は、伝令兵のふりをして一度バラバラに散会してここに集合したんだよ」
もし100名の集団が一斉に移動すれば援軍に向かった事が敵に察知されてしまう。だが、1~3名程度の小数段で移動し集合するという手を使えば、敵からしてみれば伝令兵が移動しているとしか思えない。
「でも、ウルフヘレさんが抜けて聖王国右翼軍は大丈夫なんですか…?」
「自分の見た限り、シャルンホスト軍は全く戦う気がないみたいだった。大丈夫だと思うよ。多分ね。それより――こっちがどうなってるのか、詳しい状況を教えて欲しい」
「はい…!」




