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終盤戦55
「やはり、な…」
エレオノールとすれ違ったその瞬間、エルヴィンは呟いた。そして、叫ぶ。
「帝国中央第二軍、軍団長エルヴィン・グリュックスが告げる!指揮権を騎兵部隊長ホルガー・クラムに移譲する!帝国兵はこの情報を伝達せよ!」
叫び終わったエルヴィンは、
――がはっ…。
と、血の混じった呼吸を大きく吐き騎馬へ突っ伏した。彼の体は、エレオノールとすれ違った瞬間にすでに致命傷を受けていた。だが、こうなるのはエレオノールと対峙した瞬間に分かっていた事だ。
それでも剣を抜き戦ったのは、相対した以上は逃げるよりも戦うという選択の方が勝利の可能性が僅かに高かったに過ぎない。
そして彼が幸福だったのは、最後の時まで総司令官たるヴォルフラム・フォン・クレヴィングの死を知らずにいた事かもしれない。
こうして帝国中央第二軍は軍団長を失う事となった。この時すでに帝国右翼軍はオスカーによって敗退。さらに直後には椿がヴォルフラムを討ち取った事により、聖王国軍の圧倒的な優位が決定した。




