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終盤戦43
「なるほど…」
ヴォルフラムは椿の覚悟を瞬時に見て取った。この相手は、命を賭けている――と。ならば、全力で叩き潰さねばならない。
椿もまた、ヴォルフラムはら発せられる殺気をその身にひしひしと感じる。それは世界最強の男が、全身全霊で自らを打ち倒そうとしてくるという事の証左。無論、勝機は極めて薄い。だが…やはり、期は今しかなかった。
「けほっ…ダメだ、やめ…っ」
ハティが叫ぼうとするも、その声は掠れて二人の元までは届かない。椿とヴォルフラム、両者は剣を構えて睨み合う。
「お主…名は?」
ふいに、ヴォルフラムが問いかけた。それは椿を一人前の敵として認めた証という事だろう。何しろ、強力無比なるヴォルフラムの攻撃を受けながら心の折れなかった相手である。ヴォルフラムしても敵として認めざるを得ない。
「僕は…エレオノール軍の軍師――ツバキ・ニイミです」
「ほほぅ…軍師が我に立ち向かうか。良いだろう。大将軍、ヴォルフラム・フォン・クレヴィング…参る!」




