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終盤戦32

「ど、どうするの…?」


 椿と共に騎馬に乗るハティが不安げな声で問いかけた。カムランが討たれた以上、もはや聖王国軍の誰にもヴォルフラムは倒せない。普段は強気なハティにもその事がはっきりと分かる。それだけヴォルフラムの実力が圧倒的だという事だ。


 となれば、撤退か。


 現在、カムランが討たれた事で中央第一軍は軍団長不在の状態だ。副長であるユーウェインもエーミールとの戦いに集中しておりとても軍団長代行など務まらない。それでも、中央第一軍でカムラン、ユーウェイン、マーハウスに次ぐ№4の地位にいるらしい者が兵達を取りまとめようとしている。兵達もまた、混乱(パニック)に陥らず統率の取れた動きをしているのはさすがはカムラン配下と言った所か。


 だが、帝国軍相手に無事撤退できるかと言えば、それは難しいだろう。


 敵の総大将ヴォルフラムは負傷したとはいえ健在、さらにフェリクスとエーミールという大十字(グランクロワ)二名もいる。易々と撤退させてはくれないだろう。


(じゃあ、僕が撤退の手助けを――?)


 中央第一軍と合流し、徹底の手助けを行う。確かにそれが最も無難な選択肢に思われた。だが、その場合はこの戦争での敗北が決定する。今ここで生き残れたとしても、いずれ聖王国は帝国に支配されるだろう。だが…、


「もし、ヴォルフラム大将軍フィシュタル・ジェネラルを倒す事ができれば…」


 小さな声で椿が呟く。それを聞き、ハティは思わず目を丸くした。


「あ、アイツを倒す…?そ、そんなの出来るわけ…」


 聖騎士(パラディン)筆頭、カムランでさえヴォルフラムには敵わなかった。そんな相手に勝てる訳はない。それは椿にも分かっている。しかし、少年の胸には小さな希望が灯っていた。


(今なら…今、この瞬間なら…勝てるかもしれない――)


 と。

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