終盤戦20
聖王国中央第二軍、その最前線。そこにエレオノールの姿はあった。
「目標はただひとり!エルヴィン・グリュックスのみ!」
そう叫び自ら騎馬隊の先頭に立ち、エルヴィン軍の本陣を目指す。
「くそっ…!なぜ奴らにエルヴィン軍団長の居場所が…!?」
エルヴィン軍の兵達は防戦に回りつつ驚愕の響きを漏らす。軍団長、エルヴィンの居場所を知るのは軍の上層部のみ。味方でさえその居場所が知らされてい。にも関わらず、戦乙女ことエレオノールは迷いなくエルヴィン軍を斬り裂き、本陣を目指していく。
しかも、ある程度の予測を立ててそこを狙うというような運任せの突撃ではない。敵はエルヴィンがどこにいるか確信している…そんな、一片の迷いすらない攻勢だ。無論、そんな奇跡のような芸当が出来ているのは椿のスキルがあってこそ。いや、それだけではない――椿のスキルがあり、さらにそれを信じるエレオノールがいてこその攻勢だ。
もし彼女の心に僅かでも迷いがあれば、剣は鈍り突撃の精度も下がる。だが、彼女は心から信じていた。この先に――椿の示した場所に、エルヴィン・グリュックスが必ずいると。




