表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

689/1118

終盤戦15

「ギャハハハハァ!」


 絶叫と共にジークフラムが斧槍(ハルバード)を振り降ろす。おそらくは象でさえ屠る事が可能なその一撃。板金鎧(プレートアーマー)を身に纏った騎士でさえ、当たれば即死だろう。いや、斧槍(ハルバード)だけではない。ジークフラムは(ドラゴン)に騎乗しているのだ。その強靭な脚も、鋭い爪も、巨木の如き尾も、体に当たれば容易く命を奪う。


 そんな死と隣り合わせの中にあって、レイア・リヒテナウアーは些かも動じない。素早い脚捌きで(ドラゴン)の巨体の間を駆けまわり、攻撃をことごとく避ける。そしてその最中にも斬撃を繰り出し、(ドラゴン)にダメージを与えていく。


「ちっ…!この羽虫がァ…!」


 ジークフラムの顔に明らかな苛立ちの表情が浮かぶ。彼にとってレイアは小さな蜂のような存在だった。その身体は決して強靭ではなく、こちらの攻撃が決まれば一撃で屠る事が可能。逆に相手の攻撃はこちらにある程度の痛みは与えられるにしても命を奪うには至らない。だが…素早さは敵が上。


 互いに決め手を欠いた状況のままの攻防が続く。戦略的に考えるならば、ジークフラムはここでレイアとの戦いを放棄し聖王国兵達を蹂躙するか、指揮官であるリヒターを狙うべきだろう。だが…目の前の敵に背を向けるなど、彼の選択肢には無い。


「俺を倒せねェくせにチョロチョロうろついてんじゃねェ!」


 そう吠えたジークフラム。まるでそれに応えるかのようにレイアが(ドラゴン)から素早いバックステップで距離を取る。


「ああ!?」


 怪訝な表情を浮かべるジークフラム。対して、


「――あれを」


 レイアは振り返りすらせず自身の後ろに手を差し出した。


「はいっ!」


 と、彼女の近くまで来ていた剣士隊の一人が一本の剣をレイアに差し出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ