終盤戦3
カムラン率いる軍団がヴォルフラム軍を捕捉した時には、すでに敵もまた臨戦態勢となっていた。約十二万の軍勢が中央、右翼、左翼に別けられている。中央が約八万。左右が約二万ずつといった所だ。
「中央でこちらと戦いつつ、左右両軍で包囲を試みる…基本的な陣形ですね」
「…うん」
ユーウェインの言葉に、カムランは頷く。なるほど、確かに一見すると基本的な陣形だ。ヴォルフラムは奇をてらった戦い方をする人間ではない。単純に圧倒的な力で敵を押しつぶす――そういった戦い方を得意とする人物だ。それ故、こういった基本的な陣形を取ること自体に不思議はなかったが…。
(しかし、何故だ。この違和感は――)
カムランの胸に沸き上がるのは違和感。それは論理から導き出されるものではなく直感的なものと言って良かった。だが、その正体を彼自身もはっきりと言葉にする事は出来ない。
「敵中央軍、こちらへ向かって動き出しました!」
兵が叫ぶ。
その言葉通り、ヴォルフラム軍は動き始めていた。もはや違和感について深く考えている暇はない。
カムランは後ろを振り返り、自軍の兵達を見回し口を開く。
「――さあ、行こう。いよいよ決戦だ!」




