中盤戦42
「騎馬隊、突撃準備。目指すは帝国軍中央第二軍軍団長、エルヴィン・グリュックス!」
エレオノールは剣の切先で前方を指し示す。彼女に従うは騎馬隊五千。
彼らはジークフラムが攻め込んで来る直前に聖王国中央第二軍を離脱。一度散会して敵を目を誤魔化しつつ、今この場に集結を果たした。エレオノール軍、エルヴィン軍、両軍合わせて十万を超える戦い。しかも竜と竜による戦いも繰り広げられ、その様子は離れていても見える。自然、エレオノール達に注目する人間は限られていた。
無論、帝国軍とてその存在には早々に気が付いたが、僅か五千。脅威度は低いと見て牽制のための歩兵をエレオノール達の前に展開させるに留めている。実際、それは戦術として必ずしも間違っているとは言えないだろう。軍団長であるエルヴィンのいる本陣は秘匿されており、正確な位置を知る者は帝国軍の中でも僅か。まさかそこを目掛け奇襲攻撃が行われるなど思ってもいないはずだ。
しかし、椿の領域解析が本陣の場所をあぶり出した。そして実際に奇襲突撃を成功させるか否かはエレオノールの手腕にかかっている。そしてその結果はそのまま中央第二軍同士の勝敗を決定付ける事になるだろう。
エレオノール軍とエルヴィン軍、両者の戦いは終盤戦を迎えようとしていた。




