中盤戦41
ジークフラム率いる特務竜兵隊が聖王国中央第二軍と激突する、その少し前――。
椿はエレオノールに対し自らの作戦案を告げていた。
「僕とハティはカムランさんの援護に向かう、そしてエレナは…」
と、そこで僅かに口ごもった後、言った。
「可能なら、帝国軍中央第二軍の軍団長に奇襲を仕掛けて欲しいんだ」
これが少年の策だった。
この時点ではまだ、カムランから派遣されたレイアは中央第二軍と合流していない。しかし、椿は領域解析でレイアが近付きつつある事を把握している。彼女がいればジークフラム相手でも持ちこたえてくれるはず。
ならばこの場はリヒターやズメイ、そしてレイアに任せエレオノールは敵軍団長のエルヴィンを狙う。本来ならばそれは容易な事ではないが、椿が領域解析で見たエルヴィンの位置をエレオノール指揮下の騎兵が圧倒的な突破力で攻めれば――不可能な作戦ではない。
しかし、攻撃に回るエレオノールのみならず防御担当のリヒターやレイアの身も危険に晒すなる賭けである。最終的な判断はエレオノール自身が行う事になる。そして彼女は決断した。
「…分かった。君の策を使わせてもらうよ、ツバキ」




