表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

628/1118

開戦24

「くそっ…なんなんだ、あの男は…!」


 粘りを見せるカイに、帝国軍弓兵部隊長は苛立ちを隠せない。帝国軍でも練度の高いと言われるエルヴィン配下の弓兵部隊。それがたったひとりの人物を仕留める事が出来ない。受け入れがたい事実だ。


「ええい、かくなる上は…。――おい、弓を寄越せ!できるだけ強い弓だ!」


 部下に命じ弓を持って来させると、それに矢をつがえ構えを取った。


「俺自らが仕留めてやるわ、カイ・ネヴィル…!」


 帝国軍エルヴィン・グリュックス配下の弓兵部隊長である彼の名はロウグ。貴族の生まれではなく元々は一介の弓兵だった。しかしその弓の腕前と弓兵達を扱う巧みな指揮により弓兵部隊長まで上り詰めた人物である。


 もっとも、数年前に肩に矢を受け負傷。その怪我が元で弓使いとしては引退し現在は指揮官としてのみ活躍していたが。


(だが、今この一瞬のみ――俺も現役の弓兵に戻ってやる!)


 弓を引くと肩の傷が痛む。下手をすれば肩が壊れ腕が上がらなくなる危険性すらある。しかし――そんなものは知った事ではなかった。


(ここまで俺の弓兵部隊をコケにされて黙っていられるか!)


 弓を引き絞り、カイの甲冑…その中でも亀裂の生じている部分に狙いを定める。


(防ぐ事の叶わぬ一撃…くらうがいい!)


 渾身の念を込めて放たれた一矢。しかし、それがカイの体に命中する事はなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ