開戦19
「あいつがカイ・ネヴィルだと!?」
カイの宣言を聞き、帝国軍兵士が色めき立つ。
「指揮官自らひとり駆けか…!」
「調子に乗らせるな!討ち取れ!」
前線を任されている中級、下級指揮官達が口々に叫ぶ。騎馬に乗っているのならともかく、今のカイは重装歩兵。機動力がない今の状況で単騎特攻というのはさすがに無謀と言えた。
例えカイの特攻により帝国軍歩兵部隊の一部を崩せたとしても、それよりも指揮官であるカイが敵に討たれてしまった際のリスクの方が遥かに大きい。最悪の場合、それで戦線が崩壊する。
「はっ!信仰の聖騎士!勇気と無謀をはき違えたか!…囲め!」
帝国軍重装歩兵部隊の中から、ひと際体の大きな男がカイに向かって躍りかかった。
「覚悟しろカイ・ネヴィル!我こそは帝国軍の――!」
と名乗りを上げつつ槍を振り降ろす。が、
「無謀だと!?そんなもの承知だ!」
名乗る間すら与えず、カイの槍が男の頭を横薙ぎに殴打した。そのたった一撃で、男は名乗る事すら出来ずその場に昏倒する。しかし、
「怯むな!かかれ!囲め!」
続いて別の重装歩兵がカイに迫り来る。
「はああ!」
それをまた一撃で屠り、さらにこちらの側面に回り込もうとした兵を屠る。この頃にはすでに聖王国軍重装歩兵部隊も帝国軍との戦闘を開始していたが、最前線かつすでに存在が知られているカイは執拗な攻撃を受け続けていた。しかし…その闘志はいささかも揺るがない。
(数では敵の方が上…。無謀な賭けであろうと、戦果を上げつつ道を切り開くしかない!)




