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開戦12

 イゾルデの持つ馬上槍(ランス)から繰り出されたのは騎馬による突撃の勢いを乗せた突き。ロナルドはそれを歩兵槍(スピア)で弾こうとするが、イゾルデの威力と技が勝っていた。ある程度勢いを殺したため致命傷は免れたものの、


「ぐ…はぁ…っ」


 と呻きを漏らしながら大きく後方へ突き飛ばされる。体を覆う重厚な(アーマー)、その中心部が刺突によりへしゃげている。ここまで鎧がへこんでしまえば、胸を圧迫し息をするのもままならないだろう。


「ロナルド隊長!」


「来るな!」


 自身の元へ駆け寄ろうとする兵をロナルドは制した。


「た、隊列を崩すな!ふ、副長!」


「はい!」


 ロナルドから少し離れた位置で重装歩兵部隊隊列に加わっていた副長が応じた。


「俺はもう戦えん!し、指揮は…お前に譲、る…」


 そう言い終え、ロナルドは地面にがっくりと膝をついたあと前のめりに倒れた。呼吸困難による酸欠が原因だろう。


「隊長が倒れられたため、副長である私が指揮を取る!…伝令兵!後方の軽装歩兵部隊より2名程援軍を連れてきてくれ!ロナルド隊長を後方へ運び救護措置を!――それ以外の者は決して持ち場を離れるな!」


 指揮権を譲られた副長は、すぐさま配下の兵に命令を下す。迅速な対応だ。


「……やっかいね」


 突撃でロナルドを倒した後、後方へ下がっていたイゾルデが敵軍の様子を見ながら小さく呟く。重装歩兵部隊長を仕留めれば敵の士気は下がると踏んでいたが…予想以上に粘り強い。


「こういう相手は……崩れにくいわ」


 ふぅ、と息を吐き再び槍を構える。敵は粘り強い――が、こういう敵との戦いならば幾度となく経験している。そしてそれを破るための方法も彼女は知っていた。一度の攻撃で崩せないのであれば、何度でもそれを繰り返すだけだ。

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