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戦地へ19

 ここまでの話の流れを総合すると、エレオノール隊が中央第二軍を、グロスモント隊が右翼を担当とした方が効率よく戦う事が出来るようだ――そんな風に全体の意見がまとまりかけた頃、エレオノールが口を開いた。


「私からも…よろしいでしょうか」


「もちろん。僕たちが何を言おうと、実際に指揮を取るのはエレオノール殿だからね。意見を聞かせて欲しい」


 カムランが応じると、エレオノールは軽く頷いた後に自らの考えを述べ始めた。


「私も、私の隊に中央第二軍を担当させていただければ…と思います。その理由は、総司令官殿と同じです」


「未知の力があるって奴だね」


 カムランに代わり、エレオノールの姉弟子…レイアが答えた。


「はい。そして私は、その未知の力についてある程度見当がついています。それは、軍師・ツバキの存在です」


(ぼ、僕…?)


 思わずそう口に出しかけるが、会話の妨げになりかねないため椿は言葉を飲み込んだ。


「ツバキの力は、必ずや戦局を左右します。ならば、最も重要な場所…つまり、総司令官カムラン殿の傍で発揮するべき。これが私の意見です」


 つまり、エレオノールが最も重要視するのは彼女自身ではなく椿という事だ。最高戦力であるカムランの傍にツバキを配置する。そのためにエレオノール隊を中央第二軍に当たらせて欲しい。それが彼女の考えだった。


 無論、ツバキを一時的にエレオノール隊からカムラン隊に移籍させるという手もある。だが、それでは最前線でヴォルフラムと対峙する事になり、あまりに危険が大きくなる。あくまでツバキはエレオノールと行動を共にしつつ、カムランに対していつでも助言できる位置で戦う…それが最善だとエレオノールは判断したのだ。


 とはいえ、椿の立場に立ってみればいささか自分が過大評価されているように感じないでもない。自分のために軍全体の配置が左右される程なのか…と。だが、エレオノールの意見に対して異を唱える者はいなかった。


 この場の面々で、オスカーとカイは椿と肩を並べその実力を知っている。カムラン、イゾルデ、ウルフヘレ、レイアも少年の実力は高く評価していた。ミュルグレスのみは何を想っているのか判別できなかったが、彼もまたエレオノール隊が中央を担当するという意見のため特に反論はない様子だった。


「それじゃあ…決まりだね」


 カムランがそう締めくくり、各隊の配置が決定した。


 右翼のバウテンに対するはオスカー。


 左翼のシャルンホストにはミュルグレス。


 そして中央のヴォルフラム、エルヴィンに対するはカムランとエレオノール。さらに各聖騎士(パラディン)がそれぞれの配下につく。

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