戦地へ13
「正直、私はアンスバッハ殿が噂通りの実力の持ち主なのか大いに疑問だな…。確かにエレオノール隊の功績には目を見張るものがあるが、ヌガザ城砦にはあのウィル・ユンカースが。巨大要塞攻略時にはグロスモント卿も実力を認めるエステル殿が。そして先のアイヒホルン戦では聖騎士であるオスカー殿自身がいた」
「つまり、アンスバッハ殿自身の実力じゃなくて一緒に戦った人たちが優秀だから功績を挙げられた…そう言いたい訳かな?」
「ああ」
ガレスの問いにユーウェインは頷く。
「少なくとも、ミュルグレス殿やオスカー殿と同列に並び副司令官を務めるべき人物ではない…のではないかと、私は思っている」
「でも、君の隊長…カムラン・フォン・レオンハルト卿が決めた事だろう?」
「まあ、そうだが…」
少し渋い表情になるユーウェイン。そこでガレスは察した。カムランが決めたからこそ、ユーウェインには納得しがたいものがあるのだろう。誰よりもカムランを知る副長の彼ゆえに、生半可な人物(少なくともユーウェインはそう考えている)がカムランに認められたという事実が納得できないという事だ。
「うん、まあユーウェインの懸念も分からないじゃないよ。聖騎士上位三名と並ぶ実力があるのかどうか疑問に思うのは当然だと思う。でも、アンスバッハ殿と肩を並べて戦ったら分かるはず。あの人と…あの隊の部隊長達、そして軍師殿がどれ程の人物なのかを」
「随分と肩を持つな」
「うん、だって俺は共に戦って知ってるからね。実力と人となりを」
「…分かったよ、ガレス。君がそこまで言うならその実力とやらを確かめさせてもらおう。次の決戦でな」




