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戦地へ4

「マリヒィン隊長、敵騎馬隊が山の麓まで来やした!」


「ようし、弓で牽制しろ」


 部下からの報告を受け、マリヒィンはそう指示を下す。崖上から一斉に矢が放たれた。しかし、騎馬隊は勢いを緩めない。


「矢が効きません!」


「ふん、わぁってる」


 鎧の僅かな隙間を狙える優秀な射手でもいない限り、板金鎧(プレートアーマー)で完全武装した騎馬隊に対して弓での攻撃というのは有効な攻撃手段とはなり得ない。あくまで弓での攻撃は牽制だ。


「騎馬隊、山に取り付きやした…なっ…凄い勢いです!」


 一応は馬が登れる程度の足場があるとはいえ、騎馬で岩山を登るというのは容易な事ではない。少しでも足を踏み外せば馬ごと滑落してしまいかねない。速度を落とし慎重に登っていくのが通常(セオリー)だ。にも関わらず、騎馬隊は全速力に近いスピードで山を駆け上る。


「へっ…やるじゃねえか。よし、岩を落とせ!」


「へい!」


 マリヒィンの指示によって岩山の頂上から岩が落とされる。直径2mはあろうかという大岩だ。だが、騎馬隊の先頭を進む騎士は足場を飛び移り見事にその岩を回避する。


「騎馬隊!上から落とされる岩に気をつけよ!」


 しかも、岩を避けつつ後ろを進む兵達にそんな忠告まで伝える余裕だ。


「こいつぁ…相当の手練れだな」


 マリヒィンの表情から余裕の笑みが消えた。


「ひょっとすりゃあ、正義の聖騎士パラディン・オブ・ジャスティス自ら出てきやがったんじゃねえか…」


「ぱ、正義の聖騎士パラディン・オブ・ジャスティス…!?」


 その名に動揺を隠せない兵士たち。だが、マリヒィンが一喝した。


「馬鹿が!正義の聖騎士パラディン・オブ・ジャスティスが敵にいるって事ぁ分かってただろ!」


「でも、まさか総司令官自ら…」


「そういう奴なんだよ、正義の聖騎士パラディン・オブ・ジャスティスってのは。…噂に聞いた話だがな」


 会話の間にも騎馬隊の先頭を進む騎士は岩山を駆け上ってくる。そんな最中、また別の兵からの報告が届く。


「頭目!敵の騎馬隊から分離した奴がいやす!回り込んで別ルートから山を登ってくる気じゃ…」


「んな奴放っとけ!このルート以外は険しすぎてとても登れやしねえ!それより目の前の敵だ!――奴が登ってきた先を槍兵で固めろ!」

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