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大将軍4

「はっ…大将軍フィシュタル・ジェネラルっつーからどんなもんかと思ったが…俺の拳を受け止めたエルヴィンとかいう奴以下じゃねえか」


 ジークフラムはそう吐き捨てる。


「き、き、貴様…!」


 あまりの凶行に、状況を見守っていた指揮官達も色めき立った。しかし、大将軍付副司令官エルヴィン・グリュックスは眉ひとつ動かさない。


「ん…?」


 ジークフラムも異変に気付く。顔面に拳を打ち込まれた大将軍フィシュタル・ジェネラル。彼がぴくりとも動かない事に。


 後ろに倒れるでもない。気を失うでもない。痛みにのたうちまわるでもない。ただただ、泰然とその場に立っている。


「軽いな」


 ふと、大将軍フィシュタル・ジェネラルの口からそんな言葉が漏れた。


「ああ!?」


 ジークフラムは拳を引き、目の前の老人を睨みつける。たった今殴られたばかりだというのにその表情は先ほどといささかの変わりもなかった。


(ドラゴン)を率いる男の拳というからどんなもんかと思ったが…この程度か」


「んだと、ジジイ!てめえ…!」


 再びジークフラムが拳を振りかぶる――と、次の瞬間。彼は自身の腹部に強烈な衝撃を受けた。


「げ…はっ…!」


 ジークフラムの口から苦悶の声が漏れる。投石器によって発射された岩塊が命中したのかと思える程の…いや、それ以上の衝撃。それは大将軍フィシュタル・ジェネラルによって放たれたボディブローだ。


「なあ、竜兵の隊長よ」


 大将軍フィシュタル・ジェネラルは笑う。とても老人とは思えない、生き生きとした笑み。


「殴るってのは、こういう事だ」

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