聖騎士集結22
レイアが天幕を訪れてから約30分後。天幕近くの丘の上。今は一時的に雨がやんでいるものの、空はには曇天が広がっている。その下で二人の女性が剣を持ち向かい合っていた。エレオノールとレイアだ。そしてそれを見る椿。
元々彼はエレオノール隊に残ってカイやエマと共にエレオノールの代行を務めるつもりだった。しかし、
「ツバキも一緒に行って来い。お前も最近ずっと部隊の編制に関わってばかりだろう。たまには息抜きしてくるといい」
というカイの言葉に促され、こうやって同行して来たのだった。
向かい合うエレオノールとレイアはその手に剣を持っている。エレオノールは長剣。レイアは刺突剣。もっとも、どちらの剣も刃引きされており殺傷力はない。
「アンスバッハ家当主、エレオノール・フォン・アンスバッハ。参ります」
「リヒテナウアー家当主、レイア・リヒテナウアー。受けて立とう」
両者共に自身の眼前で剣を掲げた後、構えを取る。そしてしばらくの間にらみ合いが続いた。それを破ったのはエレオノールからだ。
「ふっ…」
という呼気と共にレイアに踏み込み、疾風の速度で剣を振り降ろす。しかしレイアの動きは風に舞う木の葉よりなお軽い。エレオノールの攻撃を避け、すかさずレイピアを突き出した。しかしエレオノールもその動きは読んでいる。すでに手元に戻していた剣でレイピアの切先を受け止めた。
しばらくの間一進一退の攻防が続く。そして――。
「…参りました」
レイピアを喉元に突き付けられたエレオノールが自身の敗北を認めた。レイアが「ふぅっ」と息を吐く。
「いやあ、危なかった…負けるかと思ったよ」
「いえ、まだまだです。師匠には遠く及びません」
「そんな事はないよ。本当に、あと一歩の所で私は負けていた。――強くなったね、エレオノール」
レイアはにっこりと微笑んだ。




