聖騎士集結15
(カイさんが歩兵部隊長を務めるって聞いた時、他の人と上手くいくかちょっと心配だったけど…杞憂だったみたいだ)
エレオノールとエマとのやり取りを見て、椿はひと安心する。特にカイとエマはなかなか相性がいいようだ。
(考えてみれば、ボゥさんもカイさんの事は慕ってたし…ひょっとして、カイさんってエマみたいな素直な子とは相性がいいのかもしれないな…)
そんな事を思っていると、
「ツバキ、どうした?」
とカイが椿の視線に気が付いた。
「ひょっとして、オレがエマ・リッツに取られるんじゃないかと思って焼きもちでも焼いたのか?」
「えっ…違いますけど…」
「…そうか、違うのか」
何故か残念そうに項垂れるカイ。そんな彼女を見ながら、エマは不思議そうに首を傾げている。
「まあいい。…お前に、ひとつ言っておく事がある」
気を取り直したのか、カイは真剣な眼差しでツバキを見る。
「――オレは、別にお前と一緒にいたいからエレオノール隊の部隊長に志願した訳じゃない。…まあ、そういう気持ちも、ちょっと…いや、かなり…あるかもしれないが…」
「…」
「だが、オレがエレオノール隊を志願したのは…それがベストな選択だと考えたからだ。私情に流された訳じゃない。アンスバッハ殿には言ったが…お前にも改めて言っておこう。――オレと共に、肩を並べて戦ってくれ」
手を差し出すカイ。その手を握りながら椿は答えた。
「はい。よろしくお願いします、カイさん。一緒に戦って…勝ちましょう」




