聖騎士集結7
「さて、それでは会議を始めるとしましょうか」
慈愛の聖騎士…レイアのそんな言葉で作戦会議は開始された。聖騎士の中ではミュルグレスと並んでレイアが年長という事で、こういった場合は彼女が音頭を取る事が多いらしい。
ちなみにカイとウルフヘレの喧嘩はレイアやイゾルデが間に入る事でなんとか納まった。
「では、私から提案が」
と切り出したのはミュルグレス。
「現在、我々の配下にいる兵のうち戦闘に参加可能な者は二十五万。膨大な兵力と言っていいでしょう。その総司令官は、無論正義の聖騎士…カムラン・フォン・レオンハルト卿です。副司令官はオスカー・グロスモント卿。そして僭越ながら私の二名が務めさせていただいています」
総司令官は聖王国最強と言われるカムラン。その副司令官として北統王国での戦闘経験が長いオスカー、作戦立案能力の高いミュルグレスというのは適材適所と言えるだろう。
「しかし、二十五万という大軍…可能ならばもう一人副司令官となる人物が欲しい所です」
「んー、確かにね」
ウルフヘレが同意した。
「基本的に、十万前後の軍団で副司令官は1人か2人。二十五万なら…3人は欲しいかも」
「じゃあ、誰を副司令官に充てようか?」
とレイア。
「聖騎士の序列から言えばイゾルデだけど…作戦立案や情報の分析を優先するならウルフヘレ、戦闘能力ならカイというセンもありだね」
「そう言う貴公は?」
というオスカーの言葉にレイアは首を振る。
「いやいや、私は副司令官なんて器じゃないから」
確かにレイアの言葉ももっともだ…と、椿も思う。序列が高く万能型のイゾルデ、作戦や政策に長けたウルフヘレ、戦闘能力の高いカイ。誰を副司令官にするかは悩みどころだろう。だからと言って、三人全員を副司令官に…という訳にもいかない。無駄に上位指揮官を増やしても命令系統が混乱するだけだ。
「その人材について、私に案があります」
元から決まっていたのか、ミュルグレスが提案した。
「エレオノール・フォン・アンスバッハ殿を三人目の副司令官に…というのはいかがでしょうか」




