表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

521/1118

聖騎士集結4

 聖騎士による挨拶は手短に終了した。兵達が休む場所の割り振りなどを行う必要があるため、今後に関する具体的な作戦会議は明日以降となる予定だ。


「エレナ、お疲れ様」


 椿はつつがなく進行役を終えたエレオノールに労いの言葉をかけた。


「うん、聖騎士(パラディン)が一堂に会するなどあまりない機会だからね、私も緊張してしまったよ」


 そんなエレオノールに対し声をかけてきた者がひとり。


「またまた、ご謙遜を。今の君は聖騎士(パラディン)に並ぶとも劣らない存在だろう?」


 そちらへ視線を向ける。立っていたのは、恬淡とした表情の女性。聖騎士序列第七位、レイア・リヒテナウアーだ。


師匠せんせい…!お久しぶりです」


 エレオノールはレイアに対して敬礼を行う。それを軽く受け流しながらレイアは、


「はは、師匠せんせいはやめてくれないかい。君の師匠は私の父上、私はただの姉弟子に過ぎないよ」


 と肩をすくめた。


「もちろん、御父上…イェルク・リヒテナウアー殿は私の大師匠(だいせんせい)です。しかし、レイア・リヒテナウアー殿も私の師匠(せんせい)だと心得ています。…そうだ。御紹介しましょう」


 と言って、エレオノールは椿の背に軽く手を添える。


「軍師として私を支えてくれてくれているツバキ・ニイミです。彼には本当に…何度も助けられています。私が師匠(せんせい)にお会いできるまで無事でいる事が出来たのも、ツバキのおかげです」


「はじめまして、ツバキ・ニイミです。…本当は僕の方が何度もエレナに助けられてますけど」


 とレイアに対して自己紹介を行う。


「へえ、君がそうかい。正義の聖騎士パラディン・オブ・ジャスティスが君の事をえらく評価していたよ」


「え…カムラン・フォン・レオンハルトさんが…ですか…?」


「そうさ。後で話をしてみるといい」


「は、はい…!」


 椿の素直な態度に、レイアは思わず微笑みを浮かべる。そしてエレオノール視線を戻して、慈しむような表情で彼女の顔をじっと覗き込む。


「それにしても…本当に大きくなったね、エレオノール。いや、今は家を継いでアンスバッハ公爵ヘルツォークだったね」


「いえ、昔のようにエレオノールとお呼び下さい」


 そんなやり取りをしていると、


「あっ…!」


 という少女の声。


「レイアさん…!」


 と声の主が近付いてくる。


「ほう…エマちゃんかい」


「はいっ。お久しぶりっす!」


「ふふ、君も大きくなったねえ。…おや?」


 レイアの瞳は、エマの後ろにいる老紳士の姿を見とめた。


「これはこれは、ホフマン老。あなたは…変わってませんね」


「さよう。昔から爺でしたからな」


「お変わりないのはいい事ですよ。――うん、エマちゃんに、ホフマン老に、そしてツバキ君…。アンスバッハ家にはあんな事があったから心配していたんだけど…エレオノールの事を支えてくれる人が沢山いて私も安心したよ」


(あんな事…?)


 椿が怪訝な表情を浮かべる。それを見てエマが、


「レイアさんのお父さんは聖都でも有名な剣術家だったんっす!それで、レイアさんと一緒にアンスバッハ家にも剣術指南に来ていて…その縁で自分やホフマンさんもレイアさんと顔見知りなんっすよ」


 と、椿の疑問からは少し外れた説明をした。しかし、そのおかげでレイアとエレオノール達の関係を知る事が出来た。


「色々と積もる話を…と行きたい所だけれど、残念ながらそろそろ行かないと。聖騎士(パラディン)になんてなってしまったせいで、私も忙しくてね」


師匠(せんせい)聖騎士(パラディン)になったと聞いた時には驚きました」


「なりたくてなったんじゃないんだけどねえ。私の本業は兵を指揮する事じゃなくて剣術と戦術研究だし。ま…時間が出来たらゆっくりと話をしよう」


「はい」


「じゃあまたね、私の可愛い妹弟子…それに、エマちゃん、ホフマン老。そしてツバキ君」


 手を振り、レイアは立ち去っていった。 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 慈愛さん…親父さんも凄いのですな!…二人の師匠とは…まだ、ご存命ですかな!? [気になる点] エマちゃん…わざと話題を逸らしたのかい?…少しもどかしいぜ!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ