今後13
シャルンホストとディルクが会話を交わしていたちょうどその頃、北統王都から東へ50m程の地点。ここには、大陸を縦断するロンシエ山脈の中でも僅か二か所しかない軍が通行可能な峠道…通称、『蛇の背』がある。それ以外の道は、幅があまりにも狭すぎて千人、万人といった軍が不可能なのだ。ここは交通の要所だけあって、北統王国兵が駐屯し警備にあたっている。
とはいえ、大部隊ではない。北統王国の東隣りは帝国…すなわち同盟国である。この峠道が何者かに攻められるなど、まずありえない。
しかし、そのあり得ない事態が現在発生していた。
「た、隊長!駄目です!第二の関所も突破されました!」
峠道に設けられた五重の関所、その中でも最も奥…蛇の背防衛部隊本営のある第五関所に兵が駆けこんで来た。
「くそ!なんなんだいったい!」
蛇の背防衛部隊長、ティモ・サイエルはわなわなと拳を握りしめた。
「なぜここが攻撃されている!いったいどういう事だ!」
「て、敵は帝国軍の服装に身を包み、自分は帝国兵だと名乗っていますが…」
「それならばますます分からん!なんで帝国兵が友軍である我らを攻撃するのだ!」




