今後3
「ツバキ、お前はどう思う?」
「そう…ですね」
椿はやや迷いながらもカイの言葉に同意する。
「カイさんの懸念ももっともだと思います」
椿もロンシエ平原での王太子、巨大要塞攻略戦でのヒーマンと王族や門閥貴族の存在には苦労を味わっている。彼らが総司令官になってしまえば、オスカーやエレオノールもその力を全力で発揮できないだろう。
「私も、ネヴィル卿やツバキの考えに賛成です」
エレオノールも同意を示す。
「冬を越し雪解けを待つとなれば、半年近くこの場で待機しなければなりません。そうなれば…西方にいる大将軍ヒューゴ・トラケウが北統王国の援軍として駆けつけるでしょう」
大将軍ヒューゴ。その言葉をエレオノールが発した瞬間、場の空気が張り詰めた。帝国の双剣にして世界最強の一角。
「確かに、ヒューゴ・トラケウとは真正面から戦いたくないですね…」
ガレスが冷や汗を流しながら答える。勇猛な彼をもってしても、ヒューゴという存在には畏怖せざるを得ないのだろう。
「という事はやはり、進軍案で作戦を練っていくべきかもしれませんね」
「…ちょっと、発言させてもらっていいすか?」
進軍案で決定しかけたその時、リヒターが手を挙げた。オスカーは「勿論だ」と発言を促す。
「じゃあ遠慮なく言わせてもらうと…俺は進軍案には反対すね」




