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栄賞8

「えっ…僕、ですか…?」


 あまりに意外な事態に、椿はキョトンとした表情で問い返す。


「その通り、君だ」


「えっと、それって何かの間違いじゃ…」


「なーに言ってるんっすか、ツバキっち」


 エマに背を押され、椿は戸惑いを見せながらもオスカーの横に進み出る。


「その…本当に僕、なんですか…?」


「無論だ。君は我が軍の負けを防ぎ、勝利をもたらし、そしてグロスモント軍とティネンの街を守ってくれた。この三つの功績をもって、特別栄賞を君に授与したい」


 オスカーはガレスから金色の杯を受け取ると、椿の目の前に掲げた。


「まず、槍騎士長ロルフ・リューガー相手に粘りを見せ援軍が来るまでの時間を稼いでくれた。これが『我が軍の負けを防いでくれた』功績。続けて、行方をくらましていた敵総大将、ハインツ・フォン・アイヒホルンを補足。これが『勝利をもたらしてくれた』功績。そして、ティネンの焼き討ち計画を掴んだ事。これが『グロスモント軍とティネンの街を守った』功績…今回の戦いで、これ程の功績を上げた者は、君の他にはいない」


「でも、それは僕ひとりでやった事じゃありません。ボゥさん、カイさん、エレナ…みんなの手助けがあったから出来た事です」


 時間稼ぎはボゥ、アイヒホルンの補足はカイの尽力が大きい。そしてティネンの焼き討ちを直接防いだのはエレオノールだ。彼女達の存在があったからこそ、椿の行動が結果に繋がったと言える。


「確かにそうかもしれない。だが同時に、『君がいなければ不可能だった事』でもある」


「…」


「俺は、グロスモント軍司令官として――いや」


 オスカーはふっと息を吐いた。


「悪いが、公私混同で行かせてもらおう!司令官として以前に、ただ一人の個人…オスカー・グロスモントとして、君に心から感謝している!君がいたからこそ、沢山の仲間を…罪なきティネンの市民を救う事が出来た。…ありがとう」

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