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決戦99

「う……わ、私は何を…?」


 アイヒホルンは馬小屋の中で目を覚ました。混濁した彼の意識を覚醒させたのは、痛みだった。


「――ッ」


 顔にズキズキとした痛みを感じる。鼻の骨でも折れているのではないか…そう考え顔に手を伸ばそうとするが、それは叶わない。手が体の後ろで縛られ、動かす事ができないのだ。


「な、なんだこれは!いったいどうして…!」


「目を覚ましたか」


 背後からの声に身をよじらせながら振り返るアイヒホルン。そこには、凛々しい風貌の騎士と少年の姿があった。その姿を目にして、アイヒホルンの記憶が蘇る。自分はこの騎士…カイ・ネヴィルに殴られ失神していたのだと。


「き、貴様らは…!」


 立ち上がろうとするアイヒホルンだったが、腕が縛られているためにうまく起き上がる事ができない。体を起こしかけ…前へつんのめり、地面に倒れた。


「お前が気絶している間に武装解除させてもらった」


 そうカイに告げられ自身の体に目を向ければ、確かに着ていたはずの甲冑が脱がされただの騎士服サーコート姿となっている。


「それと、お前の部下たちにお前の計画も聞かせてもらった」


「何!?あいつら、貴様の私の計画をばらしたのか!?」


「ああ。――無関係な民衆まで犠牲にする作戦とは…下種め」


 カイは嫌悪の眼差しを向けながらアイヒホルンに近付いた。そしてその顔面に向かって足を振り上げる…が、その動作は途中で中止された。椿がカイの腕を掴んだからだ。


「…オスカーさんと合流しましょう」


 アイヒホルンに対して憤りを覚えるカイの気持ちは椿にもよく分かる。だがまだ戦いは終わっていない。ここでもたもたしている暇はないのだ。アイヒホルンを捕虜としてオスカーのもとに連れていき、この合戦を終結させなければ。


「…そうだな」


 カイは振り上げた足をゆっくりと降ろす。そして、アイヒホルンの手を縛る縄、その端を引っ張った。


「立て。今からお前をグロスモントの所に連れていく」

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