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決戦61
「エレオノール司令官」
エレオノールの近くにホフマンが駆け寄った。
「血路は私が切り開きます。どうか、グロスモント卿と共に――前へ」
その言葉だけでエレオノールはホフマンの考えを理解した。幼い頃から自身の事を支え続けてきた老騎士に頷く。そして、オスカーへと顔を向けた。
「グロスモント卿!前方高台の奪取を!」
「ああ!俺もそれを考えていた!」
オスカーは跳び来る岩塊を砕きながらエレオノールへ駆け寄った。
「血路は我が隊のエレメンス・ホフマン部隊長が切り開きます!我らで敵陣へ切り込みましょう!」
「承知!――ガレス、元気な者を集めてくれ」
オスカーの判断は速い。エレオノールの言葉を聞くなり、手勢を纏め突撃の体勢を取った。
「――ホフマン、頼んだ」
「お任せください、エレオノールお嬢様」
「…お嬢様、はやめてくれ」
「私の中ではいつまでもお嬢様ですよ」
そう言って笑うと、ホフマンは配下の騎兵と共に敵陣へ切り込んだ。




