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決戦41

(…本当に上手くいくんだろうな)


 そんな事を思いながら、カイは船の甲板上に立っていた。大公国残党軍が海峡の渡航用に用意していた軍船である。そして今、彼女は…大公国軍の騎士服サーコートに身を包んでいる。


 聖王国のシンボルカラーである白ではなく、濃い青色の布地。胸には大公国の指揮官を表す徽章。元々、大公国残党軍の着用していたものだ。彼女は――いや、彼女のみならず、今現在船に乗っている聖王国兵、その全てが大公国軍の騎士服や甲冑に身を包んでいる。


 叡智の聖騎士パラディン・オブ・プルードゥンスの提案した作戦、それは『大公国軍のふりをして海峡を渡る』というものだった。なるほど、大公国軍は北統王国にとって友軍。そして海峡で待ち構える海賊たちは北統王国に雇われている。つまり大公国軍のふりをすれば邪魔される事なく海峡を渡る事ができるはず――という考えだ。


 とはいえ、こんな方法が本当に上手くいくのか。カイは半信半疑だった。


「これで海賊共を騙す事が出来るのか?」


 自分と同じく甲板に立つ叡智の聖騎士パラディン・オブ・プルードゥンスに問いかける。


「わかりません」


 叡智の聖騎士パラディン・オブ・プルードゥンスは淡々とした口調で言った。その投げ槍とも言える口調に、


「なに!?」


 とカイはいきり立つ。だが、聖騎士序列第二位は冷静さを崩さない。ちなみに、叡智の聖騎士パラディン・オブ・プルードゥンスは聖騎士最年長。カイよりも一回り年上である。


「何事にも絶対などという事はあり得ません。どんな作戦であろうと失敗する可能性はあります。ですが――まあ、大丈夫でしょう」


「何故そう言える」


「海賊と北統王国の間できちんとした連携が取れているとは思えないからです。海賊はあくまで金で雇われただけ。正規の軍相手だった場合、色々と詮索される可能性もあるでしょうが――海賊たちは我々の細かな素性など確認しようとはしないでしょう」


「ふむ…」


 なるほど、一理ある。カイがそう思ったその時、海峡に浮かぶ島の影から船団が姿を現した。海賊たちだ。

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