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決戦39

(ここまで見事に作戦がハマるとは)


 カイ・ネヴィルは自ら戦場で剣を振るいつつ、正義の聖騎士パラディン・オブ・ジャスティス叡智の聖騎士パラディン・オブ・プルードゥンスの見事な連携に舌を巻いた。


 敵総大将を討ち、その直後に旗を掲げ敵の戦意を喪失させる――その作戦を事前に聞かされた時、カイは、


「確かにこの作戦が成功すれば敵の士気は大きく下がるだろう。しかしそう上手くいくものなのか…オレは疑問だな」


 と、難色を示したものだ。


 この作戦において最も重要なのは、敵総大将を討ち取るタイミングと旗を掲げるタイミングを合わせなけらばならないという事だ。


正義の聖騎士パラディン・オブ・ジャスティスが総大将を討ち取ったとして、それを後方に伝える事が出来るのか?」


 敵総大将を討ち取るためには敵陣の奥深くに突入しなければならない。そこで大将を討ち取ったとしても、それを後方に伝える手段がない。


 角笛ホルンを鳴らすにしても、距離があり過ぎて戦場の喧騒にかき消されてしまう恐れがある。遠眼鏡テレスコープで確認できるかどうかも微妙だ。かといって伝令など送っていたのでは間に合わない。


「砂時計はあるかな。時間は…30分のものがいい」


 正義の聖騎士パラディン・オブ・ジャスティスが言った。静かで、それでいて力強さを感じさせる声。それを聞き、近くの兵士が砂時計を持ってきた。


「ありがとう」


「…そんなもので何をするつもりだ」


 不審げな様子で砂時計を見るカイ。


 そんなカイに、正義の聖騎士パラディン・オブ・ジャスティスは視線を向ける。


「僕は敵総大将を討ち取るため、手勢を引き連れ君たちの本隊から離れる事になるよね」


「ああ。この作戦を実行するならば、当然そうなるだろう」


「本隊から離れたちょうど30分後――僕は、敵の総大将を討ち取る」


「なに…?」


「だから、30分後に旗を揚げればいいのさ」


 そう言って、正義の聖騎士パラディン・オブ・ジャスティス叡智の聖騎士パラディン・オブ・プルードゥンスに砂時計を手渡した。


「承知した」


 叡智の聖騎士パラディン・オブ・プルードゥンスは、それだけ答えて砂時計を受け取る。


「ま、待て…!」


 納得した様子の二人に対し、カイは食い下がる。


「30分後に敵総大将を討ち取るだと…そんな事が…」


 そんな事ができるのか。まずそもそも、敵軍を突破し総大将のいる本陣まで突入するというのが至難の業だ。そこからさらに敵総大将を討ち取らねばならい。


 敵の配置、総大将の位置、総大将やそれを固める護衛兵の実力。様々な不確定要素が絡むことになる。その中での時間指定。不可能だ――と思った。だが、聖騎士序列筆頭は微笑みながら言った。


「そこは僕を信じてもらう外ないかな。ただ――僕は、今まで出来もしない事を出来ると言った事は一度もないんだ」


 そしてその言葉の通り、彼は自らの発言を実行して見せた。

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