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決戦20

　槍騎士たちが一度後方へ下がり…そして、勢いをつけ重装歩兵部隊に対して突撃を敢行する。

「重装歩兵部隊、迎撃用意！」

　ボゥの指揮の下、重装歩兵部隊が迎撃の態勢を取った。ディルクの統率する槍騎士は1万を超える。それに対し、重装歩兵部隊は3千。数の上では槍騎士が有利だ。しかし、重装歩兵は防御に回ればめっぽう強い。

　重装歩兵には、軽装歩兵隊のような俊敏性も騎兵のような突撃力もない。しかし、機動力を犠牲にしてまで重厚な鎧を身に纏っているだけあって平地の戦における戦い…それも正面の敵に対する防御では無類の強さを誇る。

　さらに、それを率いる指揮官。元近衛兵にして聖騎士の従妹《いとこ》ボゥホート・ネヴィルの実直な性格は重装歩兵部隊を率いるのに最適と言えた。槍騎士の突撃を前にしても恐怖を見せず、自ら槍を構え兵を鼓舞する。彼女の姿に重装歩兵部隊は白銀《しろがね》の壁となる。

「迎撃！」

　槍騎士の突撃に合わせ、ボゥが号令を下す。重装歩兵たちが一斉に槍を前方に突き出した。この構えはそうそう破れるものではない。それ故、ディルクは狙いをただひとつに絞っていた。それは重装歩兵部隊の要、指揮官であるボゥホート・ネヴィル。

　ギュサームを構えた槍騎士が、重装歩兵部隊の最前線で指揮を取るボゥへと迫る。